MFAcalc_readme

MFAcalc: RogersのMuscle Fatigue Assessment (MFA)による筋疲労評価

【1】概要

 本ソフトMFAcalcは、Rogers氏が開発したMuscle Fatigue Assessment(以下、MFA)[1]-[4]のためのソフトである。
 MFAは、比較的短時間の作業の繰り返しにより身体各部位に蓄積される筋疲労度を、労作強度I、連続労作時間D、労作頻度Fの組み合わせから点数化し、改善の優先順位を決める方法である。
 MFAでは、労作強度I、連続労作時間D、労作頻度Fの3つの作業要因をそれぞれ4区分して1~4点のスコアにする。各スコアはいずれも、1が疲労を生じにくい条件、4が最も疲労しやすい条件になっている。3つの作業要因の組み合わせから改善の必要な優先度を求めるのは、組み合わせの表を用意している。ただしスコアが4になる要因が1つでもあると、直ちに改善が必要と判定される。

 MFAが評価対象とする身体部位は、頸部・肩・腰(腰背部)・腕や肘、手首・手・指、下肢や膝、足首・足・つま先の7部位(左右別々では12部位)である。
 本法は、1サイクルが5分以内であるような短時間のタスクでの疲労度を評価する方法である。半日あるいは1日に及ぶような長時間の作業での疲労度を評価する方法ではない。また、本法では部位別の疲労による改善の優先度が得られるが、RULLAやREBAなどのような全身としての総合的な疲労度の判定や改善の必要性の判定機能はない。

 本法を紙あるいはエクセルのワークシートで使用したい場合は、文献[1]~[3]を参照のこと。

【2】使用法

 評価対象とする場面を決めて、以下の3つの作業要因の入力を行う。入力および評価の対象は、体の左右のどちらか一方あるいは両方と選ぶことができる。
 各要因の条件を入力すると、画面右のスコアの欄も自動的に表示される。改善の優先度も、どれかの作業要因が変更されると、直ちに優先度も更新して表示される。
 スコアの欄は、1が緑、2が黄色、3が薄赤、4が赤で表示される。薄赤や赤の欄のないのが疲労しないよい作業状態である。
 左下の人型の絵の上に表示されている数字は、各部位の優先度の値である。図中の数字をクリック・ドラッグすると、画面上段の「労作強度E」の横にある赤■カーソルが移動して対象部位の行を示す。

1.各条件の入力

1)労作強度(E, ES)
 作業には、力を発揮して作業をする労作(ろうさ, exertion)を行う部分と、作業をしていない部分がある。このうちの労作の部分の作業の強さを示すのがこの「労作強度」である。
 本法の労作の評価法は部位ごとに異なるが、区分はいずれも以下の4分類となっている。部位ごとにプルダウンメニューで各区分の労作の状況が説明されている。また、ボルグスケールBS[1]および最大労作時を100%とした場合の各区分の%値[3]との対応は以下のとおりである。
(1)軽:スコア1.BSが3以下。最大労作の40%未満。
(2)中:スコア2.BSが4-6。最大労作の40%以上、70%未満。
(3)重:スコア3.BSが7以上。最大労作の70%以上。
(4)非常に重:スコア4.ほとんどの人が実行できないくらい強い強度の状態
 多くの人が普通に実施できる作業ならそのスコアは1の「軽」か2の「中」になる。

2)連続労作時間(D, DS)
 労作の持続時間により以下の区分でスコアが付けられる。この時間は、1日の作業でのトータルの労作時間などではなく、1サイクルのタスクで持続する労作の時間である。
(1)6秒未満: スコア1
(2)6~20秒:スコア2
(3)20~30秒:スコア3
(4)30秒以上:スコア4

3)労作頻度(F, FS)
 労作頻度は、労作を含む1サイクルのタスクの1分間あたりの繰り返し回数である。スコアは以下の区分でつけられる。
(1)1[回/分]未満:スコア1
(2)1~5[回/分]:スコア2
(3)5~15[回/分]:スコア3
(4)15[回/分]以上:スコア4

2.改善優先度スコアPSの解釈
 改善の優先度スコアは、部位ごとに表示される。どの部位もスコア1で優先度が「低」であれば改善は必要ない。
 優先度スコアが3で「高」または4で「非常に高」と判定された部位がある場合は、直ちに改善を行う。その際、労作、時間、頻度の3つのスコアのうち3の「高」あるいは4の「非常に高」となった条件があれば、それを優先的に改善する。

【3】注意

1.Rogersの原法[1][2]では労作・時間・頻度などの分類は3区分であったが、多くの現場使用の経験を踏まえて4区分に変更されたり、Bernardらによって様式の改良がおこなわれたりしている(文献[3][4][5])。本ソフトは文献[4][5]をベースに作成している。
2.文献[3]によると、本法は1分間に15回を超える頻度の動作や保持時間が30秒を超える作業については過小評価となる可能性がある。
3.本法の作業強度の区分は大まかなので、特に作業時間が5分以上になる状態があるならたとえスコアが2で優先度が「中」であっても、改善が必要な場面が表れる可能性がある。本法で疲労部位が特定できたら、より詳細に評価できる他の手法で検討を進めるとよいと思われる。
4.本法は、5分間程度作業を観察して迅速に評価するのに適しており、多様な作業が組み合わさるような1日8時間の作業の評価には向かない。部位別の評価法なので、全身としての疲労度は評価できない。
5.本ソフトはフリーソフトとして公開しているが、無断での複製や転載は不可である。
6.本ソフトは、使用者自身の責任において使用すること。作者は、本プログラムを使用したことによって生じたいかなる損害に対しても、それを補償する義務を負わない。
7.本ソフトは、現在も改良を進めている。予告なく仕様が変わる場合があることをご了承ください。

【4】作者および問い合わせ先

 ものづくりのための人間工学, 人間工学評価ツール開発メンバー
  URL https://ergo4mfg.com
  上記URLの問い合わせページよりお願いします。

【5】文献

[1] Rogers, S. H, Job evaluation in worker fitness determination, Occupational Medicine: State of the Art Review, 3(2), pp.219-239, 1988.
[2] Rogers, S. H, A functional job analysis technique, Occupational Medicine: State of the Art Review, 7(4), pp.679-711, 1992.
[3] Rogers, S. H, Muscle fatigue assessment: functional job analysis technique, in “The Handbook of Human Factors and Ergonomics Methods”, edited by Stanton, N., et al., CRC press LCC, pp.12-1-12-10, 2005.
[4] Rogers Muscle Fatigue Assessment, in “Kodak’s Ergonomic Design for People at Work”, 2nd, edited by Changalur, S.N., Rogers, S.H. Bernard, T.E., John Wiley & Sons, Inc., pp.137-152, 2004.
[5] Tormas E. Bernard, Ergonomics, https://health.usf.edu/publichealth/tbernard/ergotools, 2022.2.22閲覧